国際機関だからといって公正・中立・無謬だとは決して言えない ~ IMFはウォール街の走狗か?

むしろ、公正・中立・無謬だと思われがちであることを利用する勢力が影響力を及ぼしていることを深刻に受け止めなければいけない。
たとえばゴールドマン・サックスが表立って自社の利益にかなうような政策提言をするよりも、こうした国際機関を操って自社の利益にかなう政策提言をした方がやりやすい。経済危機に陥った国に対して融資と引き替えに条件を突きつけられるIMFは好都合である。

『IMFで唯一拒否権を持っている国は、G1と呼ばれていますが、それはアメリカ合衆国です。拒否権を持つ国があれば、当然その国の意向はIMFの意思決定に強く反映されるでしょう。しかし実態はもっと悪い。と言いますのは、反映されているのはアメリカ全体の意向ではないのです。アメリカ全体の意向であったならまだ良かったのですが、実際に反映されてきたのはアメリカ財務省とウォール街の意向だったのです。

「スティグリッツ早稲田大学講義録~グローバリゼーション再考」 (光文社新書)p.82



IMFによる経済予測
「ギリシャ経済の先行きについてIMFが2010年に試算を出したが、その経済予測は現実のギリシャ経済の動向とは大きくかけ離れるものとなった。IMFの予測ではギリシャの実質GDPは2011年を境に上昇に転じるはずであった。現実にはギリシャ経済は落ち込みをつづけ、2013年には実質GDPが2008年時の76パーセントにまで減少した。」

以下はIMFではなくアメリカ合衆国政府のポストだが、アメリカの公的なポストが巨大企業に占有されていることは否定しようがない。

ヘンリー・ポールソン
1999年から証券会社ゴールドマン・サックスの会長兼最高経営責任者(CEO)を務め、2006年から2009年までジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領の下で財務長官を務めていた。

ロバート・ルービン
1990年にはゴールドマン・サックスの共同会長に就任
1993年、クリントン政権の発足と同時に経済政策担当大統領補佐官に任命されてホワイトハウス入り
1995年、第70代財務長官に就任。
財務長官退任後、1999年10月よりシティグループの経営執行委員会会長(1999年 - )。

ディック・チェイニー
1995年-2000年までハリバートン社のCEO
2000年の大統領選挙前にジョージ・W・ブッシュ(当時テキサス州知事)から副大統領候補を推薦してくれるように依頼され、そのまま自分を推薦して副大統領となった。
http://jp.reuters.com/article/tk8215334-analysis-imf-austerity-idJPTYE89E04E20121015?pageNumber=3&sp=true

焦点:IMFが緊縮一辺倒の過ち認める、遅すぎた方向転換
2012年 10月 15日 16:53 JST

[東京 15日 ロイター] 過去に国際通貨基金(IMF)の緊急融資プログラムを実施して景気悪化の痛みを味わった国々は、今ごろになってIMFが緊縮策のコスト計算を間違っていたとを認めたことで、憤懣(ふんまん)やる方ない気持ちだ。

アルゼンチン、インドネシア、韓国といった国々はかつて、IMFによる数百億ドルの融資と引き換えに厳しい財政支出の削減を義務付けられた。これらの国々は、IMFがようやくアジアや中南米の経済危機の際に犯した過ちから学び始めたとみている。

インドネシアのギタ貿易相は「彼らは過去の出来事から学んでいる。我が国が1998年に経験したことは間違いなく過酷だった。その時期を生き延びた私は、われわれが被った困難が教訓となるよう期待する」と話す。

インドネシアはアジア金融危機が勃発した1997年に100億ドルのIMF融資に調印し、財政支出削減、増税、銀行閉鎖、引き締め的な金融政策といった経済プログラムに着手した。IMFは、これらを実施すれば景気の悪化を抑制できると主張していた。

インドネシア経済は結局、98年に13%ものマイナス成長に陥り、IMFの予想した3%のプラス成長とは程遠い結果になった。

IMFのストロスカーン前専務理事は2010年、IMFがアジアにおいて「過ち」を犯したことを認めた。

IMFは先週発表した調査報告書で、厳しい財政緊縮策による経済への打撃は以前想定していた規模の3倍に及ぶ可能性があると指摘した。

ラガルド専務理事は12日に東京で開かれたIMFと世界銀行の年次総会全体会合の冒頭で「助言というのは、受け取るのも与えるのも時として難しい」と述べた。

調査報告書と並行してIMFは、ユーロ圏債務危機に対処するため財政緊縮を促す従前の姿勢を緩和し、ギリシャその他の重債務国に早急な財政赤字削減を強いれば副作用を招くとの主張に転じた。

<緩衝剤>

IMFの報告書は、2009年の前後で緊縮策が先進国に及ぼす影響が著しく変化したことを示している。09年以降、大半の主要先進国は政策金利をゼロ近くまで引き下げている。

通常なら、財政政策を引き締めても中央銀行が利下げという緩衝剤によりその打撃を和らげることができる。しかし現在は金利が限界まで下がったため、財政引き締めを相殺するために打ち出せる金融政策は乏しい。

IMFのブランシャール調査局長は「現在は多くの国々が流動性の罠に陥っている。これは周知の通り、金融政策を使えないことを意味しないが、平時に比べて金融政策には大幅な制約がある。こうした場合、金融政策によって相殺されずに財政健全化の影響が直に出ることになる」と述べた。

1997年のインドネシアでは、IMFは財政赤字の削減と金融引き締めの両方を勧告。これが景気悪化を深刻化させたとの批判を招いてきた。

IMFは99年、インドネシア経済が予想よりはるかに悪化していることが明らかになった時点で、もっと素早く政策の緩和を許す余地があったことを認めた。しかし同時に、インドネシア政府がIMFの計画を適切に実行しなかったことを批判した。

アジアにおけるIMFの評判には今でも泥が塗られたままで、アジア諸国は二度と救済を仰ぎたくないという理由もあって、総額約6兆ドルの外貨準備を積み上げている。

<失敗が約束された戦略>

アルゼンチンのロレンシノ経済財務相はIMFが失敗を認めたことについて、ユーロ圏危機に対する姿勢を改める「最初の一歩」になるはずだと言う。

経済財務相はIMFに寄せた公式声明で「IMFはまたしても失敗を約束された政策条件や改革戦略を支持している。これらは対象国における景気後退を深刻化させ、失業率を押し上げ、債務は持続不可能な道をたどって社会的な失敗も招くことになる」と訴えた。

アルゼンチンは過去10年間にIMFから合計約230億ドルの融資を受け、それを返済。現在はIMFが融資対象国に課す条件を声高に批判している。

韓国は1997年にIMFから210億ドルの融資枠を与えられ、成長率が97年の5.7%から98年には3%に減速することを前提とした改革プログラムに合意した。実際には韓国経済は98年に6%近くのマイナス成長に陥った。

97年のIMFとの交渉で韓国代表団を率いた鄭徳亀氏は、IMFは通貨危機の診断を誤り、財政政策の問題だとして間違った改革案を処方したと指摘。「すっかり手遅れになってから消防団が到着したが、十分な水を積んでおらず火事の性質も正確に把握していなかったようなものだ。その結果、火事はますます大きくなった」と話した。

IMFの示した処方箋から離れることによって成功を収めた国が少なくとも1つある。

ボリビアのアルセ経済・財務相は、IMFが他の国々で失敗を犯したのを見たため、ボリビア政府はIMFの勧告を無視することを決めたと説明。IMFの勧告と正反対の政策を実施したことにより、2005年に38%を超えていた貧困率を11年には24%強に抑え、一人当たり国内総生産(GDP)はこの間に倍増したと述べた。

財務相は「ボリビアでは国家の介入を強めることで、より良い富の配分を成し遂げた。われわれは市場をまったく信頼しておらず、2006年に市場主義経済を捨てた」と指摘。「IMF理事らの志は良いのだが、一部の局はIMF内で実施すべき改革にまったく耳を貸さない。ラガルド専務理事ができる最良の行動は、彼女の良い志を下のレベルまで浸透させることだ」と述べた。

(Emily Kaiser、Sophie Knight記者)

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150707/dms1507070830005-n1.htm

EUやIMFはなぜ緊縮財政にこだわるのか ギリシャ問題
2015.07.07

 ギリシャは6月末に返済期限が到来した国際通貨基金(IMF)からの融資約15億ユーロ(約2000億円)を返済できなかった。ギリシャはIMFと欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)とギリギリの交渉をしてきたが、返済期限切れの後、突如、条件付きで緊縮財政を受け入れるとも言い出した。

 ギリシャはこれまで、EUなど債権団の要求を受けて歳出削減を進めてきたが、結果として財政再建に失敗してきた。日本と同様、ここでも財政再建を最も成功させるカギは経済成長であり、緊縮策はあまり役立たないことが示されている。

 にもかかわらず、EUやIMFはギリシャにさらなる歳出削減、増税など緊縮財政を要求している。なぜ緊縮財政にこだわるのだろうか。

 これは、債務返済について、債権者のEUなどと債務者のギリシャが面と向かって交渉しているからだ。債務者は債務免除を主張するが、債権者としては条件を必要とする。債務免除というアメの代わりに緊縮財政というムチが必要になるという単純な思考である。

 そこで行われているのが法律面での交渉だという事情もある。個人や企業の債務返済の場合、債務者は債務を返済する義務があり、その義務を免除するには、債務者に一定のペナルティーを与えるのが原則だ。

 それとのアナロジー(類推)で、国家間でも債務交渉が行われている。しかも、法律の交渉なので、短期的な視点で、できる限り範囲を限定して議論する。このため、国家間の話でも、長期的・マクロ経済に基づく重要な観点は見失われて、短期的・ミクロの立場からの議論になりがちだ。

 債権者のEUを主導するドイツは、東西ドイツ統合で膨らんだ財政赤字を減らしてきたという自負があり、それができないギリシャを非難しがちである。そこでは、ドイツがユーロというシステムによって、大きな利益を得てきたことは忘れ去られている。

 一方、IMFは、官僚的な金貸し機構なので、目先の返済にこだわる。相手国から担保を取っているわけではないので、返済猶予に対してシビアで、こちらも緊縮財政を要求しがちである。

 もっとも、個人や企業の場合でも、債務者を殺しては元も子もないので、一定のペナルティーといっても過度なものではない。そうした反省から、最近IMFからも過度な緊縮財政は成長の妨げになっているというリポートも出ているが、緊縮財政を要求する体質はなかなか変わらない。

 緊縮の要請がドイツなどにとっては当たり前でも、ギリシャにとっては過大であることが問題だ。そして、行き過ぎた緊縮の要請は、結果としてギリシャの経済成長を阻害して、EUなどの債権者が求める返済に支障が生じている。こうした状況を打開するためには、短期的・ミクロの法律議論ではなく、長期的・マクロの経済議論を取り入れるべきだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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アテナイ人諸君、こういう噂を撒きちらした、こういう連中がつまりわたしを訴えている手ごわい連中なのです。
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