菅原晃は「オーストラリアは米豪FTAで名目GDPを拡大させた」と暗示

菅原晃(すがわら・あきら)
1965年生まれ。北海道公立高等学校教諭。慶応義塾大学経済学部 玉川大学大学院文学部教育学専攻 修士課程。
著書『高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門』他。
菅原氏のブログに藻谷浩介氏が誹謗中傷を書き込んだとして60万円の損害賠償請求、藻谷が10万円の支払いを命じられ確定

今回は、菅原晃という経済学関連の著作がある人のブログから。
<曲学阿世 中野剛志その1 「関税は、設けた国が払っている」ことを知らない>
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-829.html

菅原晃
『 で、対米貿易赤字だから、不利な結末・・・「赤字が不利」なら、「黒字は有利」と考えているのでしょう。彼が、経済学を全く理解していないことが、わかると思います。』


どうやらこの人は、アメリカからの輸入増によって豪州国内の業者が廃業の憂き目に遭うことなどについては一顧だにしていないようです。彼にとっての関心事はマクロ的統計値だけで、人間を科学実験の薬品くらいにしか思っていないのでしょうか?おそらく、廃業した人は別の仕事に就けば良い、と考えているんでしょう。人間を機械扱いしているのかも。自分が選んだ職業を一生続けたい、という価値観は彼にとってはゴミ同様でしょう。

菅原晃
『なるほど、アメリカとFTAを結ぶと、対アメリカでは「不利」ですが、トータルで考えると、GDPは増加し、1人当たりGDPでも、日本をはるかに凌駕できるようです。日本も、一刻も早くアメリカとFTAを結ばないと、まずいです(笑)。
 と言うのは冗談ですが、アメリカとFTA結んで、そんなにオーストラリアが不利になったのなら、何で、オーストラリアは、TPPの交渉なんか、参加しているのでしょうか?オーストラリアは、自国が不利なTPPに、わざわざ参加する・・・オーストラリアは、バカ国家???』


彼は豪州の名目GDPのグラフなどを紹介したうえで、次のように暗示しています。
米豪FTAで対米貿易赤字が拡大しても、豪州は名目GDPが拡大しているし日本と比べても一人あたりGDPは伸びているのだから結果オーライじゃないか、豪州がTPP交渉に参加しているのは米豪FTAが豪州にとって「おいしいFTA」だったからTPPで二匹目のドジョウを狙っているんだ、それは米豪FTAが豪州の名目GDPを拡大させたからだ、と。

貿易収支のとらえ方については彼のブログでも紹介されていますが、資源の無い国日本にとって大事なのは生産力であって、それこそが日本の富の源泉です。自国で必要な物は自国で生産できる、それでこそ先進国です。
石油や天然ガス、鉱物などを輸入せざるを得ない宿命を背負った日本が、さらに農産物まで輸入拡大を迫られています。これまでもオレンジや牛肉などが自由化されており、TPPという原則例外無しの関税撤廃条約の交渉に参加しています。

菅原晃に言わせれば日本はバカ国家ですね。この点は同感です。

人間が生きるために欠かせない食料を輸入に頼る国はやがて崩壊するでしょうし、崩壊後の再興も困難になります。
日本が焦土と化した敗戦後に復活できたのは、アメリカが日本の農業を潰さなかったからです。
日本がロシアに勝てたのは、コメと絹という限られた産業で稼いだ金で英国から軍艦を買ったからです。

菅原晃は貿易収支を甘く見すぎていませんかね?

続けます。
菅原晃
『 日本の、コメの関税は、778%と言われています。1000円のコメが日本国内に流通するときは、8,780円になります。みなさん、この7,780円を、「輸出業者が払う」と考えています。だから、なかなか「輸出できない」「輸出をあきらめる」と。
 違うのです。関税は、日本人が払っているのです。輸出業者は、1円も懐を痛めてはいないのです。懐を痛めているのは、日本人なのです。
 1950年代に、タイムスリップします(別にしなくてもいいのですが、物語として)。 
 アメリカの自動車が、1万ドルだとします。1ドル=360円なので、日本円で360万円です。』
『いいですか?関税を払っているのは、日本の消費者です。日本の消費者から関税を負担してもらって、それを、日本の生産者(保護しようとしている自動車メーカー)に回しているのです。アメリカの自動車メーカーは、自分の懐など、全く痛めていません。』
『コメの778%関税、払うのは、輸出業者ではなく、日本の消費者なのです。』


コメの関税の話からいきなり自動車の話で関税について説明しておられます。米国やEU、韓国では自動車の輸入関税は未だに課されています。しかし日本では1978年からゼロ、ということをご存じないわけではないと思いますが、ひょっとすると菅原晃は読者が錯誤するように意図的に話をまぜこぜにしているのかもしれませんね。

わざわざ図解してまで関税を誰が負担するのか説明してくださっています。ごくろうさまです。
まぁ、あたりまえのことなんですけどね。はたして誰のための解説でしょうか?
中野剛志はそんなことくらいわかっているはずですけどね。
彼が言っていないことを言っているかのように捏造しておられます。

関税を負担しているのは関税をかけている国の消費者だ、という点は形式的にはそのとおりです。
そういう観点で言えば、米国政府による関税撤廃要求は日本の消費者のため、ということになりますが、彼らはそんなお人好しじゃありませんよ(笑)
彼らは米国の業者のために日本に関税撤廃を強く迫っているのです。まさかご存じなかったとか?
ヤレヤレ、こんなことから説明しなければならないとは、、、(トホホ

関税によって日本の農産物生産力は維持されるのです。それは究極的には日本の消費者のためです。短期的視点だけで関税を撤廃して食べ物が安くなったと喜んでいたら、我々の食卓にはマクドナルド騒動のような食品ばかりが並ぶことになるでしょう。日本の食の安全は確実に崩壊します。
逆の立場から見れば、自動車の輸入関税を米国その他が撤廃しないのは同様の理由になります。自動車産業を保護したいからです。

東日本大震災で原発がストップし、LNGを急遽調達することになった電力会社は足もとを見られて法外な高値で買わされてしまいました。

人間が生きるために必要な農産物を自国で生産できなくなった”金持ち国”は、やがて足もとを見られて日本人の口に合わない低品質の農産物を法外な高値で買わされることになるのです。

こんな事を続けていれば、いつかは日本は崩壊してしまうでしょう。
衰退した農業と絹産業から日本を立て直さなくてはいけなくなる日がいつか本当にやってくるかもしれません。
「なにやってんだおまえたちは」と、明治の偉人たちに怒られてしまいそうです。

自分さえ良ければいい、
自分が生きている間だけ日本が繁栄していればいい、
いざとなったら国外に移住すれば良い、
そんな考えで良いのでしょうか?
高校教師としてどうなのでしょうか?

国際的に見て決して安くなくても、一定の品質が確保された食品が安定した価格で調達できる国こそが本当に豊かな国なのではないでしょうか?

以下、蛇足ですが、GDP統計とは裏腹に、豪州でも実質所得は減少しているようです。

オーストラリアを悩ます「所得不況」~GDP統計では20年以上も景気後退知らずだが、実質所得は減少
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42697
2015.01.20
『オーストラリア経済が2014年7~9月期に前年比で2.7%成長したにもかかわらず、中小企業の多くが経営不振に喘いでいる。2.7%という成長率は、まだオーストラリアのトレンドを下回っているものの、他の大半の先進国を上回っている。
 国内総生産(GDP)の拡大と多くの国内企業の業績不振との間の矛盾から、一部のエコノミストは、国全体の経済活動の主要指標としてGDPを使用することの妥当性に疑問を投げかけるようになった。』


http://megalodon.jp/2015-0121-1123-44/abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-829.html
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No title

>貿易収支のとらえ方については彼のブログでも紹介されていますが、資源の無い国日本にとって大事なのは生産力であって、それこそが日本の富の源泉です。自国で必要な物は自国で生産できる、それでこそ先進国です。

なるほど、できるだけの自給自足が望ましいのですね。

>日本がロシアに勝てたのは、コメと絹という限られた産業で稼いだ金で英国から軍艦を買ったからです。
菅原晃は貿易収支を甘く見すぎていませんかね?

あれ?自給自足がいいのに、貿易がないとダメなのですか? 貿易の力が大きいと?あれ、貿易を制限する方が望ましいと考えていたのでは?

>どうやらこの人は、アメリカからの輸入増によって豪州国内の業者が廃業の憂き目に遭うことなどについては一顧だにしていないようです。

あれれ?輸入増=輸出増(世界全体の輸出額は同時に世界全体の輸入額の事、日本の相関係数は86%超)ですが、オーストラリアの輸出が拡大するのはまずいんですかね?

>東日本大震災で原発がストップし、LNGを急遽調達することになった電力会社は足もとを見られて法外な高値で買わされてしまいました。

日本のLNG輸入(2013年)は オーストラリア1806万トンと第1位ですが、オーストラリアが輸出増(裏側で輸入増)になるのは、日本の輸入増(裏側では必ず輸出増)になるので、まずいことらしいです。


>衰退した農業と絹産業から日本を立て直さなくてはいけなくなる日がいつか本当にやってくるかもしれません。

え?絹を輸出してうるおった日本がいいのですか?貿易はダメなのでは?自給自足が良いのでは?

>人間が生きるために必要な農産物を自国で生産できなくなった”金持ち国”は、やがて足もとを見られて日本人の口に合わない低品質の農産物を法外な高値で買わされることになるのです。

あれ?じゃあ、このようになったら、貿易しないと餓死しちゃいますね。貿易は制限した方がいい、なぜなら貿易を拡大化して自給を低めてしまうと、貿易しないと餓死しちゃうから????????。

>国際的に見て決して安くなくても、一定の品質が確保された食品が安定した価格で調達できる国こそが本当に豊かな国なのではないでしょうか?

>おそらく、廃業した人は別の仕事に就けば良い、と考えているんでしょう。人間を機械扱いしているのかも。自分が選んだ職業を一生続けたい、という価値観は彼にとってはゴミ同様でしょう。

失業者は必ず一定の割合で存在するが、その所得がない人にも、高い価格の食品が望ましいそうです。

このような、矛盾を露呈している方には、もっと論理的な「自由貿易」反対論を読んで勉強されることをおすすめします。

関良基(せきよしき)『自由貿易神話解体新書 ―関税こそが雇用と食と環境を守る』(花伝社、2012年)

などいかがでしょうか?

しかし、自給自足すると、パンもパスタも、ピザも、讃岐うどんも、ラーメンも、カレー粉も、コーヒーも、紅茶も、ワインも、ウイスキーも、パイナップルも、キウイも、回転ずしのサーモンも、エビも、マグロも、カニも、チョコも、ガムも、サラダオイルも、ドレッシングも、牛丼も、天丼も、カップめんも、納豆も、みそ汁も、とうふも食べられなくなってしまいます。

日本産100%をうたうモス・バーガーやケンタッキーも、国産肉も国産卵も、マヨネーズも食べられません。アイスも、チーズも、ケーキも、シチューも、バターも、牛乳も食べられません。なぜなら、これらの蛋白源は、輸入飼料によって賄われているからです。

昭和30年代のように、コメと漬物と味噌汁の食生活が理想のようですね。

日本は、食生活が豊かになり、平均余命が長くなったんですがね(これは医学的科学的合意事項)。長生きは日本人の敵!ですね(笑い)。

自分は豊かな食生活を望んで(失業しないということは、選択できる=選択肢が多い=カネがある状態=豊かさが良いということでしょう)、日本人全体には、自給自足がよいそうです。

自分がヒマな時間にPC使ってブログをかけるのも、みんなが分業して選択肢を拡大させているからということがわからないのでは、説得力がないですよ。

No title

オーストラリアの1人あたりGDPは、2013年までの30年間に、5.54倍になりました。この間に日本は、3.84倍にすぎません。

結果、日本の1人あたり名目GDPは39321.19ドル、オーストラリアは64156.92ドルと、完全に豊かさで逆転されてしまいました。

今、北海道ニセコのスキー場、高額コンドミニアムの建設ラッシュで、オーストラリア人で、あふれかえっています。中には、日本滞在に200万円もかける家族がいるほどです。

オーストラリアの失業の一部を切り取って、針小棒大に喧伝するのは、何らかの意図があるとしか思えません。

木を持て森を見させない誘導は、目の曇った学生をそだてることになります。



6348268 384.8894357

No title

>資源の無い国日本にとって大事なのは生産力であって、それこそが日本の富の源泉です。自国で必要な物は自国で生産できる、それでこそ先進国です。


>自分さえ良ければいい、
自分が生きている間だけ日本が繁栄していればいい、
そんな考えで良いのでしょうか?

さて、大東亜戦争に突入した日本のスローガン「自存自衛」でしたよ。「共存共栄」捨てて、200万人の犠牲を生みました。

「自存自衛」は破滅に至る・・・日本人が経験した貴重な教訓です。

sugawara

 さて、世の中には、貿易自由化反対、TPP反対、関税撤廃反対を叫ぶ人たちがおります。

TPP推進派は農産物も耐久消費財も全部金額に換算して評価することしか出来ない。近い将来必ず来る食糧危機に対する懸念というものがまったく念頭に無い。食料というものは多少高くても安定供給することが国家としての責任であることに全く考えが及ばない。耐久消費財などと単純比較できない。

世界人口が70億を超え、食糧危機が懸念されるいま、世界有数の先進国である日本が食糧自給率を下げようとするのは愚か。途上国の食料を高価で買い取り、途上国の市民を飢餓に陥れることになる。いくら金を積んでも食料が買えないなんてことにもなる。国家のリスクマネジメントという視点が欠落

 この人たちの中には、①自分に関係がないのに、自分の考えを人に押し付け、平気でいられるタイプの人がうようよおります。大きなお世話なのですが、本人気づいていません。「公益」だと確信しているから、絶対に信念を買えようとしません(笑い)。

 頼むから、押し付けないで!「自存自衛だああ!!!!」ですから、この人たちに関わると、下手をすれば戦争に巻き込まれてしまいます(笑い)。

 ①がいうのは、安全、日本の景観、失業者が出ていいのかという利他心etc公共のためという義憤のようです。

 ②農業生産者は、自己利益のためです。これはこれで理があります。

 が、①の場合、自己利益のためではありません。なぜなら、自分が安全な食材が欲しいなら、関税がたとえゼロになって海外産が多数を占めても、日本産がゼロになるわけではないので、買うことはできるからです。ほかの人にも高いものを買え!と強制します。

 「公共のためと言って社会利益の増進をしている人」をスミスは見たことがないといいます。

『世界の名著 アダム・スミス(国富論)』中央公論社 S62 p388

 それゆえ、各個人は、彼の資本を自国内の勤労活動の維持に用い、かつその勤労活動をば、生産物が最大の価値を持つような方向にもってゆこうと、できるだけ努力するから、だれもが必然的に、社会の年々の収入をできるだけ大きくしようと骨を折ることになるわけである。

 もちろん、かれはふつう、社会公共の利益を増進しようなどと意図しているわけではないし、また自分が社会の利益をどれだけ増進しているのかも知らない。…生産物が最大の価値を持つように産業を運営するのは、自分自身の利得のためなのである。

 だが、こうすることによって、かれは、他の多くの場合と同じく、この場合にも、見えざる手に導かれて、みずからは意図してもいなかった一目的を促進することになる。…自分の利益を追求することによって、社会の利益を増進せんと思い込んでいる場合よりも、もっと有効に社会の利益を増進することがしばしばあるのである。

 
 では、「関税反対」の何がおかしいのでしょうか?

 まず関税は、外国や、あるいは外国の業者が払うのではなく、日本人が払い、資源の配分に歪みを生じさせる税だということを再確認しましょう。

日経センターの分析です。日経H27.1.30

 コメ・小麦・牛肉・豚肉・乳製品・砂糖の6品目の関税撤廃によって受ける、恩恵です。

 所得が低くなればなるほど恩恵を受ける、つまり、現行の6品目関税は「所得の低い層により負担をかけている」ことになるのです。

 その負担度は、高所得者層の2.3倍です。消費税の負担格差は1.7倍ですから、その比ではありません。

「消費税は(低所得者に)逆進税」

が、もしも成立するなら、

「関税は(低所得者に)と~っても逆進税」なのです。

 つまり、関税撤廃の方が、消費税軽減税率を適用するよりも、もっと「低所得者(例:配偶者をなくした独身高齢層)」に優しいのです。

関税撤廃反対者は、低所得層に冷たい、利己主義者ということです。

 だから、自分の利益だけ追求していればいいのです。「社会のため、公益のため」って言って社会利益を増進した、なんて言う人は、スミス以来いないのです。

中学校教科書くらい、理解しよう

さて、「貿易黒字は儲け、赤字はソン」のアホ論を、中学校教科書でさえ、「違うよ」と言っている記事をアップしました。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-998.html
「中学校公民教科書でさえ、貿易赤字は企業の赤字と違う!と言っているのに・・」

 中学校レベルの理解さえできないので、トンデモ論者はトンデモ論を言い続けます。ということです。

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プロフィール

ソクラテス太郎

Author:ソクラテス太郎
アテナイ人諸君、こういう噂を撒きちらした、こういう連中がつまりわたしを訴えている手ごわい連中なのです。
そして、その連中というのは、嫉妬にかられて、中傷のために、諸君をあざむくような話をしていたわけなのであって、かれらのうちには、自分でもすっかりそう信じこんで、それを他人に説いているような者もあるわけなのですが、いずれもみな厄介至極な連中なのです。

http://twilog.org/nomorepropagand

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