韓国で続く性犯罪被害に遭った女性たちの苦悩

2013 年 10 月 25 日 15:23 JST Wall Street Journal
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304523904579156772225716310
 【ソウル】ある22歳の女性が、自らをレイプした男と警察署で対峙(たいじ)したときの様子を話してくれた。彼女は2012年にソウル郊外の軍浦市の警察署の一室でこの男と相対した。容疑者の男は彼女に許しを求めた。
 この女性によれば、男が白状したにもかかわらず、立ち会った警察官は告訴を思いとどまるよう彼女を説得しようとした。彼女によれば、警察官は「(告訴しても)彼は6カ月しか刑務所にいないだろう」と言い、「彼は酒に酔っていたのだから、2度としないだろう。この男からカネを受け取るだけの方が容易だ」と話したという。
 この女性は、法廷でこの容疑者と再び顔を合わせたくない、そして、彼女を侮辱した警察官たちにも二度と会いたくないと思い、5000万ウォン(約454万円)の示談金を受け取ることで和解した。
 この女性の話は、韓国の女性の権利擁護活動家の間だけでなく、政府関係者の間でさえよく知られている。韓国政府は、警察や裁判所の当局者が依然として被害女性に直接ないし間接的に圧力をかけ、性的暴行で訴えないか、被害届ないし告訴を取り下げるよう圧力をかけている場合があることを認めている。
 韓国女性家族省の女性・青少年権利局のLim Jong-pil副局長は「女性の権利を尊重するよう警察当局を教育してこの問題を解決しようと努力している。しかし、実際にはあらゆる警察官の態度を変えて管理するのは難しい」と話した。

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韓国の性犯罪ではここ数年、事件解決(青)と起訴(灰)の数は増えているものの、有罪判決(緑)は増えていない

 この女性は、容疑者と対峙したときに話した警察官の名前を覚えていないという。

統計によると、性的暴行事件の捜査件数は近年、着実に増えている。
 韓国最高検察庁によると、性的犯罪で起訴された人数は昨年、1万0103人に達し、4年前から38%も増えた。
 同検察庁は、性的暴行で有罪になった件数の記録を取っていないと説明するが、韓国最高裁のウェブサイト情報によると、昨年、性関連犯罪で有罪になった人数は前年比4.7%増の3919人だった。
 最高検察庁の広報担当者は、一部の性犯罪の容疑者が裁判所送りにはなっていないものの、彼らは自宅軟禁といった代替的な処罰を受けていると説明した。
 この担当者は「社会から高い注目を集めているだけに、とりわけ性犯罪の増加を非常に憂慮している」と話した。
 韓国は過去数十年の間に先進国の仲間入りを果たしたが、儒教の影響が歴史的に強く、女性を従属的に見る傾向も強いことが、性差別存続の理由に挙げられている。01年には、この問題に対処するため、両性平等・家族省が設立された。
 韓国警察庁は今年、性犯罪についての特別のタスクフォースを立ち上げたが、梨花女子大学アジア女性学センターのChang Pil-wha所長は、問題が法執行の分野にとどまらず、ずっと根深いものだと指摘する。同所長によれば、虐待的な韓国人男性の多くは自らの行為を犯罪とは思っておらず、裁判で罰せられるのを「簡単に回避できる」と考えているという。
 一方の韓国人女性は、依然として「2次被害」を恐れている。Chang所長によれば、この中には復讐(ふくしゅう)への恐怖、恥じのほか、法制度への不信などが含まれる。同所長は、こうした理由で性的暴行の被害届ないし告訴を思いとどまったり、示談に流れたりする女性は少なくないと指摘する。
 同所長は政府のデータを引用し、データ件数が実際の性的暴行件数の10分の1ほどしか反映していないと述べた。
 ただし、男女不平等が女性の健康や生命を危険にさらしている恐れがある国は、決して韓国だけではない。
 世界保健機関(WHO)は世界の女性の3分の1がドメスティック・バイオレンス(配偶者や恋人による暴力=DV)や性暴力に苦しんでいると推測する。最近医学誌「ランセット・グローバル・ヘルス」に掲載された論文によると、アジアの6カ国の男性10人に1人が見知らぬ女性をレイプしたことを認めているという。韓国はこの研究の対象になっていない。

 韓国では性的暴力を受けた女性が沈黙を破ると、他の被害女性も口を開き、つらい経験を語り始めることがある。
 例えばKim Youn-jungさん(28)によると、彼女は昨年レイプされたが、警察、家族のほか、女性弁護士にさえも、告訴を思いとどまるよう説得された。その後、彼女は一部の友人も同じことを経験したことを知った。Kimさんをレイプした男は外国人で、法的措置が講じられそうになる前に韓国から出国していたという。
 Kimさんは「彼女たちは何年も前からの私の友人だが、私が経験したことを話すまで、自らの経験を打ち明けようとはしなかった」と話した。
 Kimさんは先月、性的虐待のカウンセリングの経験のある友人とともに「Disruptive Womyn Talksat」という場をソウルに設けた。そこでは地元の市民や韓国在住の外国人など14人の参加者に性的暴行被害を率直に話す機会が与えられた。Kimさんによれば、「公に正当性が認められたと感じた」ことが一番の収穫だった。
 Kimさんは「(これは)私が自分の一件を乗り越えようとしているときに必要とした感情だった」と話した。
 Kimさんら主宰者2人はこの集まりを月1回開く計画だ。
 共同主宰者のVanessa Sae-hee Burkeさんは「犠牲者たちは自分に起きたことを受け入れるが、反撃しないと話す」と述べた。Burkeさんはビクティム(犠牲者)という言葉より、サバイバー(生き残り、生還者)という言葉を好む。
 KimさんとBurkeさんは、女性が話のできる親密な空間を提供したいと話す。
 Kimさんは「ある人の人生が少し良くなって、その人が夜、少し良く眠れるようになればうれしい」と話した。

 一方、軍浦警察署で容疑者の男と和解した女性は、自らの経験を他人にもっとオープンに話す勇気はないと述べた。ただし、話すことが立ち直りの一助になり得るという点には同意した。現段階では、ただ全てを過去のものにしたいと望んでいるという。
 彼女は「多くの女性が私がしたのと同じこと(示談)をしている」と話す。
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アテナイ人諸君、こういう噂を撒きちらした、こういう連中がつまりわたしを訴えている手ごわい連中なのです。
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