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内閣法制局による集団的自衛権の解釈に対する問題点



西修「日本国憲法を考える」 (文春新書)より

p.84

第一項は、「国権の発動たる戦争」と「武力による威嚇または武力の行使」を放棄しているが、無条件ではない。これらが放棄されるのは、「国際紛争を解決する手段として」である。とすれば、「国際紛争を解決する手段として」とはどのような意味なのかを吟味しなければならない。それを吟味すれば、1928年の不戦条約に由来するものであることを知るであろう。

p.104

集団的自衛権に関する政府の解釈には基本的な問題点がある。政府は、集団的自衛権を「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力を持って阻止する権利」と定義づけている。これを北大西洋条約機構(NATO)第5条と比較してみよう。同条は、ある特定の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなし、国連憲章第51条に定められている個別的または集団的自衛権を行使して、北大西洋地域の安全を回復・維持するために、攻撃を受けた締約国を援助することを定めている。この援助には、兵力の使用を伴う、必要なあらゆる行動が含まれる。

こうして国際的には、ある国に対する武力攻撃を、その国と密接な関係にある国に対する武力攻撃とみなしうる場合が、国連憲章第51条の発動要件と考えられているのである。しかるに我が国政府の解釈は、この部分をすっぽり外し、他の条件「自国が攻撃されていないにもかかわらず」を加えた。それゆえ、自国と本来、関係のない国を援助することが、集団的自衛権であるかのような印象を与えるようになっている。

次に、「保有しているが、行使できない権利」とはいったい論理的にどう考えたら良いのだろうか。保有している権利は、使ってこそはじめて意味があろう。使えない権利とは、すなわち保有していない権利に他ならない。政府のこのような解釈は、論理的矛盾を意識せずには導き得ないはずである。また、集団的自衛権は国際法上、主権国家として当然にもっていると言いつつ、憲法上、その行使はできないというわけであるが、この論理でいけば、我が国は、主権国家ではないということになるのではないだろうか。

さらに、内閣法制局解釈の問題点は、個別的自衛権と集団的自衛権とは、自衛権という範疇では不可分の関係にあるにもかかわらず、可分であると解釈していることである。国連憲章第51条は、個別的自衛権も集団的自衛権も、ともに加盟国の「固有の権利」(国連で英語と全く同等に使用されているフランス語では「自然権」と表示)として位置づけている。国際化社会のこんにち、自国防衛のため、自国の力だけでは限界がある。そこで信頼しうる国と共同で防衛するという方式をとることもありうる。自国の力だけで防衛するか、他国と共同して防衛しあうかは、政策の選択の問題であって、解釈上はいずれも自衛権の中に入れられるべきものである。

そしてもう一つ。1984年、国際司法裁判所は、いわゆるニカラグア事件に関し、集団的自衛権を国際慣習法上の権利と認めた。とすれば、憲法第98条第2項の「確立された国際法規」に集団的自衛権が含まれることになる。同項の規定は、次のようである。「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」しかも、第99条は、国務大臣、国会議員ら公務員がこの憲法を尊重し、擁護する義務を明定している。国政に責任を負う人々は、確立された国際法規たる集団的自衛権を遵守し、我が国の安全保障を確固たるものにしていく責務を担っている。

以上



第18講 憲法9条 総司令部案の真相 西修先生
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131102/edc13110208500002-n1.htm

第19講  憲法9条 芦田修正が行われた理由 西修先生
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131109/edc13110907420000-n1.htm
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アテナイ人諸君、こういう噂を撒きちらした、こういう連中がつまりわたしを訴えている手ごわい連中なのです。
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