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昭和天皇に「戦争責任」などない~「君臨すれども統治せず」




小室直樹「日本国憲法の問題点」より

事実関係だけを簡単に触れておけば、当時の朝鮮政府内で親中国(清国)派と親日派の抗争が長らく続き、政治に混乱が生じたために朝鮮国内で農民反乱が起きた。これを受けて、清国が朝鮮出兵を宣言し、これに対して1885年に結ばれた天津条約にしたがって日本も出兵を決めたところから戦争が始まった。

さて、
この軍事緊張が起きたとき、日本の政府、特に外務省や軍部は日清戦争やむなしという覚悟を決めていた。そこでまだ宣戦布告もしないうちに大本営を設置するなど、矢継ぎ早に対策を講じていたわけだが、これに対して猛反対をなさったのが明治天皇であった。最終的には戦争はやむを得ないとしても、外交交渉を尽くしたらどうかというご意向であったのである。

ところが結局、同年7月25日に豊島沖海戦から日清戦争が始まった。まだ、このとき日本は清国に宣戦布告をしていなかった。この知らせを聞いて、明治天皇が激怒なさったのは言うまでもない。天皇はすぐに伊藤博文首相を呼び、攻撃中止命令を出された。

さて、この天皇の命令に対して、時の明治政府はどう対応したか。もし、ここで天皇の命令通りに攻撃が中止されたとすれば、天皇は専制君主であるということになる。君主の信託を受けた内閣が実際の政治を行っていても、最終的な拒否権が天皇にあるというのなら、これは紛れもない専制君主国家である。

一方、いかに天皇が君主であるといっても、内閣の決定に拒否権を行使し得ないというのであれば、これはイギリス流の立憲君主国家ということになる。よく言われるように、イギリスの国王は「君臨すれども統治せず」である。イギリスでは1707年、アン女王が拒否権を発動したのが最後で、それ以後の国王、女王は誰も拒否権を行使していない。

しかして日本の場合は。その答は歴史の示す通り。

政府は従来の方針にしたがって日清戦争に踏み切った。同年8月1日、日本は清国に宣戦布告をした。

明治天皇はあくまでも戦争にご反対で「これは朕の戦争ではない」とまでおっしゃったと伝えられている。開戦の報告を皇祖(天照大神)と皇考(孝明天皇)の御陵に報告するための勅使の派遣をなさらなかったのもお怒りの現れである。だが、ひとたび政府が戦争の決定を下した以上、それに対して拒否権は行使なさらなかった。

つまり、この日清戦争を契機に、日本では事実上の憲法の変更が行われ、日本は立憲君主国家になったと言えるわけである。

戦前の日本は立憲君主国家になった。このことについて、もう少し述べておきたい。

昭和16年(1941年)9月の御前会議において、英米に対する開戦が決議されたとき、昭和天皇があくまでも平和を望まれたことはよく知られている。昭和天皇は、この会議の席上、明治天皇御製の「四方の海 みな同胞と思ふ世に など波風の立ち騒ぐらむ」を詠まれて改めて外交交渉による解決を望まれた。

しかし、この昭和天皇のご意志にもかかわらず、日本は同年12月8日、英米に対して宣戦布告を行う。このときの御前会議について、「もし、あのとき昭和天皇が大権を発動なさっていたら、このような敗戦を迎えずに済んだのではないか」と言う人が少なくない。いや、そればかりか、このことを持ち出して「天皇の戦争責任を弾劾する左翼知識人も未だに多い。

しかし、それは明治憲法の条文だけしか読んでいないために起きた途方もない誤解である。すでに述べたように、日清戦争の時、明治憲法は事実上の変更をされている。天皇は立憲君主になられたのであって、閣議の決定に拒否権を行使しないことが慣習となった。つまり、日本もまた18世紀以後のイギリスと同じ立憲君主国としての道を歩むことになったのである。

したがって、イギリスが近代に入って数々行った戦争について、時の国王・女王に政治責任が無いのと同じく、昭和天皇の責任などあろうはずもない。昭和天皇はあくまでも憲法を尊重し、その枠の中で最大限の努力をなさった。


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