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マッカラムの八項目覚書~日本を真珠湾に導いたアメリカの謀略




ロバート・B・スティネット「真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々」より抜粋

当時のアメリカ政府や軍部の中で、日本の活動と意図について、マッカラム少佐ほどの知識を持っている人物は、ほとんど見当たらなかった。彼は日本との戦争は不可避であり、米国にとって都合のよいときに、日本から仕掛けてくるよう挑発すべきであると感じていた。1940年10月作成のマッカラム覚書の中で、日本を対米戦に導くだろうと考えた八項目の行動を次のとおりあげている。

A 太平洋の英軍基地、特にシンガポールの使用について英国との協定締結。
B 蘭領東インド(現在のインドネシア)内の基地施設の使用及び補給物資の取得に関するオランダとの協定締結。
C 中国の蒋介石政権に可能な、あらゆる援助の提供。
D 遠距離航行能力を有する重巡洋艦一個戦隊を東洋、フィリピンまたはシンガポールへ派遣すること。
E 潜水艦隊二隊の東洋派遣。
F 現在、太平洋のハワイ諸島にいる米艦隊主力を維持すること。
G 日本の不当な経済的要求、特に石油に対する要求をオランダが拒否するよう主張すること。
H 英帝国が日本に対して押しつける同様な通商禁止と協力して行われる、日本との全面的な通商禁止。

マッカラムの八項目覚書が作成されたのは、1940年10月7日。これはルーズベルトが最も信頼していた二人の軍事顧問、ウォルター・S・アンダーソン海軍大佐とダドリ・W・ノックス海軍大佐に送付された。アンダーソンは海軍情報部長であり、直接ホワイトハウスのルーズベルト大統領に面会できた。一方、海軍戦略家であり、海軍情報部図書室長であったノックスは、1940年から41年にかけて軍事顧問を務め、米海軍大西洋戦隊(のち大西洋艦隊)司令官だったアーネスト・J・キング海軍大将の助言者でもあった。ノックスはマッカラムの八項目覚書に賛成し、次のような控えめの意見をつけて、アンダーソン部長にまわした。
「本職は貴官の行動方針に同意する。われわれは両洋(太平洋と大西洋)で用意を整え、多分、両洋の問題を処理するのに足るほど、強力でなければならない」と注意した。
マッカラム覚書の末尾にはノックス室長の承認メモが付いていた。この覚書はアンダーソン部長にも送付されていたが、彼またはルーズベルトが実際にこの覚書に目を通したか否か、著者が調べたところでは特に記録は残っていなかった。しかし、一連の大統領秘密文書接受簿及び海軍書類ファイルに付いていた諜報情報資料から、アンダーソンとルーズベルトの両名が確かに、この覚書を読んだ決定的な証拠が見つかった。ルーズベルト大統領の関与を得て、マッカラムの八項目提案は翌日からさっそく組織的に実施に移された。

以上
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