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米国は中韓にこそ「失望」すべし

米国は中韓にこそ「失望」すべし
2014.1.16 03:12 (1/4ページ)[正論]

 □ヴァンダービルト大学 日米研究協力センター所長 ジェームス・E・アワー

 安倍晋三首相が昨年12月26日、靖国神社に参拝したのを受けて、東京の米大使館はほぼ確実に国務省の指示で、「日本の指導部が近隣諸国との緊張を悪化させる行動を取ったことに米国は失望している」との声明を出した。

 ≪緊張悪化の張本人は誰か?≫

 日本のメディアの一部報道に反し、米国が日本指導層の行動を批判するのはさほど異例ではない。筆者が米国防総省にいた1979年から88年にかけて、米国は、ソ連の軍事的脅威の深刻度への日本の認識不足が防衛予算の不十分な増額などに反映されているととらえ、たびたび批判した。

 加えて、米行政府とともに特に一部の米連邦議会議員は、日本の「不公平」な通商政策と米国が称したものをしばしば厳しく(「失望」より強い言葉で)批判した。それはほとんど、日本政府のあるレベルが、米国民に米国製の車やテレビを買うより日本の自動車や家電製品を購入することを強要しているといわんばかりだった。

 これらの批判は二、三十年、そうした頻度で聞かれなくなっているがゆえに、首相の靖国参拝への米国の失望に関する声明は今や本当に異例だというのだろうか。

 むろん日中、日韓間の緊張に失望するという点で異存はない。だが、これらの緊張の原因は何かを慎重に考察することが極めて重要だ。以下を提示したい。

 ■安倍首相は衷心からであれ緊張を確実に増す行動は取るべきでないとする向きがある。

 この論評は一見、もっともらしい。しかしながら、誰が緊張を持続または増大させようとしているのか、そして誰が緊張を克服しようとしているのかという論点を巧みにはぐらかしている。

 日韓そして日中の間の緊張緩和は、安倍首相と大方の日本国民にとって歓迎するところだ。首相が12月26日に靖国に行っていなければ、韓国の朴槿恵大統領や中国の習近平国家主席は、今ごろは日本との関係を大いに改善する用意があっただろう、と本気で信じている者などいるだろうか?

 ≪日本という敵必要な共産党≫

 靖国神社に参拝しないことだけではない。韓国の指導者たちの多くが今日、竹島への領有権を放棄することはもちろん、慰安婦として中国に送られた韓国女性たちにもっと真摯(しんし)に何がしかの謝罪をすることに対しても、日本は不本意なのだと決めつけて、異を唱えている。日本人が竹島への主権の主張の合法性には説得力があると考えているのに、である。

 中国の対日関与の意思はさらに疑わしい。めざましい経済的台頭と相応する軍事能力増大にもかかわらず、中国は今なお中国共産党により支配されているというのが過酷な現実である。共産党は腐敗した権威主義的な振る舞いから人目をそらすべく、日本という敵を「必要」とする。その振る舞いこそが近隣諸国を脅かし、中国国民のために礼節あれと望む全ての人を「失望」させている。

 ■安倍首相は靖国神社に行くことで合祀されているA級戦犯を崇拝しその栄誉を称(たた)える。

 12月26日の首相の発言にも、神社内の鎮霊社も訪れた当日の行動にも、日本国天皇や幾多の首相、他の幹部指導者たちが謝罪を重ねてきたA級戦犯や他のあらゆる兵士たちの行為を、いささかでも称えるようなものは表れていない。米国のアーリントン国立墓地には米指導者たちが後に謝罪した奴隷制やその他の行動に関わった兵士たちの遺骸(靖国にそれはない)も収められているのだ。

 ■韓国や中国の指導者には、安倍政権の行動は1930年代の軍国主義への危険な回帰を映しているとまで言う者もいる。

 ≪「積極的平和主義」評価を≫

 これらの指導者のうち、安倍首相がどんなに長く在職しようと、自国領土の1センチでも日本に攻撃される可能性があると現実に恐れている者は一人でもいるだろうか。北朝鮮指導者は心配していると言うかもしれないが、私は、ソウルや北京の責任ある指導者がそうした懸念を抱くことなど本気で疑うし、ワシントンでは誰もそう感じていないと確信している。

 米国政府は安倍首相に失望の念を表すべきだろうか。米国は独立国としてそうする権利がある。しかし、慎重に考察すれば、1952年から2014年までの平和愛好国としての日本の実績を認めたがらない姿勢を示す韓国に、そして、とりわけ中国の声明や行動に対して、最低でも同等の(言わせてもらえれば、もっと大きな)失望感が向けられる必要がある、ということが見えてくる。

 そして、米国が東京に失望感を表明するのであれば、米国の指導者たちには少なくとも安倍首相の試みを高く評価してもらいたい。首相は、腰が引けて時に非現実的である日本の反戦平和主義を、もっと積極的な形に変えようとしている。それは、米国が60年以上にわたって日本に採用するよう奨励してきたことでもある。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140116/amr14011603130002-n4.htm
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