アフリカから貧困が無くならない理由



高山正之『スーチー女史は善人か』新潮文庫より


 朝日の記事は奥が深い。 

 先日の朝日新聞に明石康が「アフリカと日本」について書いていた。紛争まみれのアフリカの平和のために欧米諸国も中国も貢献しているが、「この分野での日本の存在感はあまりに乏しい」と。

 「乏しい」とは財布の中身を言う言葉だ。
下手な日本語は長い国連勤めゆえのつもりらしいが、気になるのはアフリカに九十億ドルもの債権を持つほど、医療や教育の人材を育てる日本を何ゆえにくさすのか。

 彼は国連に多額の寄付をした笹川良一の窓口を務めて、それで出世もした。世故にも長けている。だから彼が貢献度の高いという欧米諸国が何をしてきたかも知っている。

 例えばナミビアやウガンダを植民地にしていた英国の対アフリカ債権はたった一千万ドルで、その額をしのぐ二十億ドルもの武器商売をここでやっていることもストックホルムの国際平和研(SIPRI)の報告で分かっている。武器代金は日本からの援助金で支払わせる。それが滞ると英国は日本に「アフリカ諸国の債務を帳消しにしてやろう」と紳士を装って言う。

 日本が債権放棄をすると英国は少し余裕のできたそれらの国々から代金を回収し、新しい武器を売る。

 明石が平和への貢献度大という米も露も中国も、英国と同じ武器輸出大国なのは意味がある。兵器の売り込みは実際に目の前でその性能を見せればいい。PKO活動はまさにその実践の場なのだ。

 明石が「積極的」と褒める中国は今さかんに鄭和をアフリカに喧伝する。

 十五世紀初めにアフリカ西岸に達した宦官のことだが、最近そのときの乗組員と現地女性の間にできた子供の末裔が見つかったと大騒ぎした。色は黒いが「目が細い」のが証拠という冗談みたいな話だが、それを足掛かりに中国はケニアに言い寄っている。間もなく武器の売り込みが始まるだろう。

 明石論文の浅さに対して、フィナンシャル・タイムズに載ったマラウイ共和国のンタバ厚生相の寄稿文は実に重く深い。

 東京とほぼ同じ人口のこの国では「一時間ごとに十人がエイズで死んでいく」が、「それを治療する医師や看護婦があまりにも少ない」とンタバは書く。なぜなら日本の援助で看護婦を養成しても「年収は四百ドル。それで英国などが高い給与でさらっていってしまう」からだと。

 英国の性質(たち)の悪さはもはや世界遺産級だが、このHIVがアフリカ問題の根源だと彼は仄めかす。これまで欧米諸国はアフリカを格好の消費市場とみなして紛争を煽り、武器を売り込んできた。ところがそこにHIVがはやり出し、罹患した人々が英仏など旧宗主国に流れ込みだした。

 英国はそれで社会保障費がパンクし、フランスも移民法を改めて旧植民地人の上陸阻止を図っている。今はもっと積極的に紛争も患者もアフリカから出ないように封じ込め政策を採っている。英国はここでもこす辛く、日本や米国など大口のODA提供国に「資金をプールしてアフリカにエイズ病棟を作ろう」といわゆるバスケット方式を説く。ただし自分はカネを出さない。それで現地に病院を作り罹患者がロンドンにこないようにする。

 そんな論議が起きているさなか、朝日新聞に妙な記事が載った。

 日本には今一万二千人ものHIV患者・感染者がいる。彼らへの「偏見をなくせ」という主張の最後に「その内の四分の一が外国人」だとつけ加える。つまり外国人患者にも偏見をもつなと念を押しているのだ。

 これは何のつもりか。朝日では見なかったが、AFP電によると温家宝が国連高官に中国のHIV患者は八十四万人もいることを白状。五年以内に一千万人に膨れ上がるという見立てに「必ず防いで見せます」と誓ったという。SARSも抑えられない不衛生な国でどうHIV患者を減らすのか。

 もしかしたら過去に重病患者を日本に密航させたように、厄介者は日本へ、でHIV患者をまとめて集団密航させる気なのか。それで中国共産党系の朝日が「中国人患者を温かく迎えろ」キャンペーンを始めたというのだろうか。

 朝日の記事は奥が深い。 
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